About Amāzīgh
〝ベルベル人〟という先住民族がいます。
彼らは、北アフリカの広い地域に古くから住み、ベルベル語を母語とします。
また、サハラ砂漠やアトラス山脈を移動しながら暮らして来た、遊牧民です。
そして、自らをアマジ-ク(Amāzīgh アマーズィーグ)と名乗ります。
その意味は「誇り高き自由人」ーーー。
彼らは年に一度、モロッコのアトラス山脈東部、イミルシル(Imilcil)という街で、
一種の結婚式を伴う祭典を開催します。
毎年9月に開催される、この祭典は〝婚約祭ムッセム〟と呼ばれ、モロッコ最大の婚約祭なのです。
この祭典は、イミルシルの悲しい恋の言い伝えから生まれたそうです。
その昔、イミルシルには、ティスリットとイズリという2つの美しい湖がありました。
湖の近くの村に住む若い男女が、部族の違いを理由に結婚を反対されてしまいます。
しかしその男女は、その湖に身を投げ死ぬことによって、結ばれることを選んだ。というものです。
のちに、年に一度だけは若者に結婚について〝完全な自由を与えよう〟と決めたことが、
〝婚約祭ムッセム〟の始りだと云われています。
「自由人」と聞いて、我々は〝好き勝手をする人〟〝気ままに生きる人〟そんな印象を受けます。
しかし、我々は〝本当の自由〟を間違って捉えているのではいないでしょうか?
物があり溢れ、多くの選択肢があり、自分の欲望を満たすこと。それこそが自由。
自由を、そんな風に捉えていないでしょうか?
〝本当の自由〟とは、色々な制約があった上での〝権利〟なのではないでしょうか?
まさしく我々が属する、婚礼業界やフォーマルの世界は、ルールがあってのこその自由のはずです。
一方で、そのルール自体が崩壊している現況も実感しています。
今こそ、我々もベルベル人のように、
先人たちから受け継いだ文化を丁寧に継承し、
〝本当の自由〟を、表現しなければならないのではないでしょうか…。
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